プラクティスミュート(練習用ミュート)
昨年3月に30数年ぶりにトランペットを再開しましたが、家で練習する時にそのまま演奏すると、うるさくて近所迷惑になるので、普段は練習用ミュートをつけて練習しています。
以前にも紹介した、ヤマハ・サイレントブラスです。
従来の練習用ミュートは、それを装着して演奏すると、音は小さくなりますが、音色が本来のものとは全く違ったものになってしまいます。
しかし、サイレントブラスは、演奏者以外の人には、従来のミュートのような音に聞こえますが、イヤホンで聞いている演奏者には、本来の音に近い音が聞こえるというスグレモノの電子ミュートです。
ヤマハ・サイレントブラス~新型 vs 旧型の比較
このサイレントブラス、現在は2代目で、旧型よりもかなり軽量コンパクトになりました。
小さい方が新型、大きい方が旧型。
(画像出典:島村楽器イオンモール太田店/【管楽器消音器】新しくなったサイレントブラス!)
私がトランペットを再開しようとした時、もしまだ旧型のままだったら、再開を断念していたと思います。
さて、これを買う時、もう一つのミュートと比較検討しました。
それが、ベストブラスのイーブラスです。
当時は3代目のイーブラスIIIでした。
ベストブラス・イーブラスとどっちがいいの?
ベストブラスは、ヤマハの金管楽器のチーフデザイナーだった濱永晋二氏が1999年に創業した会社です。
そして濱永氏はサイレントブラスの開発者でもあります。
その濱永氏が、サイレントブラスを超える(?)電子ミュートとして開発したのが、イーブラスです。(画像は下の方で掲載します)
近くに試奏できる楽器店がないため、サイレントブラスとイーブラスIII、どちらを買うか、ネットで情報を集めて比較検討しました。
サイレントブラスの方がよいと言う人、いやイーブラスの方がよいと言う人がそれぞれ相当数いて迷いましたが、どちらかと言うと、ヤマハの方が評判がよさそうだったので、サイレントブラスを買うことにしました。
サイレントブラスの長所と短所
サイレントブラスばかりで練習していると、上達しないとか、下手くそになると言われています(^^;
なので、時々車中などでオープン(ミュートなし)で練習しています。
オープンで練習しているとわかるのですが、サイレントブラスは、ヤマハの言うとおり、オープンに近い音質に聞こえます。
巷で言われている抵抗感ですが、私はそんなに抵抗感が強いとは思わず、オープンとの相違感、違和感はあまり感じません。
ピッチについては、確かにオープンよりも悪いですが、巷で言われているほどひどいものではなく、私には全く許容範囲内です。
音量は、演奏者以外にはささやき声程度にしか聞こえず、テレビやラジオの音よりも小さいので、夜中でも家で練習することができます。
サインレントブラスの問題点はただ一つ、使うのが面倒くさいことです。
まずピックアップミュートという本体をトランペットのベル内に装着し、これとパーソナルスタジオというアンプにコードで接続、さらにこのパーソナルスタジオにイヤホンを接続して使用します。
このセットアップ(配線)がまず面倒。
パーソナルスタジオは、演奏時はポケットなどに入れなければならず、演奏の途中で休憩して楽器を置く時などに、一緒にポケットから出さなければなりません。
これがまた面倒なのです。
イーブラスIVを購入!
この面倒くささがあるがゆえに、トランペットを練習する意欲が半減してしまうので、何とかならないものかなぁ?と思っていたところ、最近になってベストブラスの新型イーブラスIVが発売になったことを知りました。
イーブラスはサイレントブラスに比べて、配線が単純なので、使いやすいと思われました。
どこがどう改良されたのか、ホームページを見てもよくわからなかったのですが、とにかく新型になったのだから、きっといいに違いない!
という根拠のない理由で、買ってみることにしました(^^;
写真で見るサイレントブラス vs イーブラスIV比較
外箱
ヤマハ・サイレントブラスは上質なパッケージ。
さすが、ヤマハと言ったところ。
対するベストブラス・イーブラスは質素なダンボール箱です。
ベストブラスの方がエコと言えばエコですが、私はヤマハに軍配を上げます(^^)/
ミュート本体外観
左がサイレントブラス、右がイーブラスIV。
この方向から見ると、デザイン以外の違いがよくわかりません。
ミュートですから、同じような形をしています。
左がサイレントブラス、右がイーブラスIV。
全長はイーブラスIVの方が短いです。
ベルの内側に接する部分(スポンジ)の面積は、イーブラスIVの方が広くなっています。
外観だけでは甲乙つけがたいです。
配線
サイレントブラスは、ミュート本体(ピックアップミュート)にアンプ(パーソナルスタジオ)を接続し、そこにイヤホンを接続します。
この配線が面倒くさいです。
電池は単3電池2本をパーソナルスタジオ内に入れて使用します。
対するイーブラスIVは、ミュート本体にアンプが内蔵されており、直接イヤホンを接続します。
非常に単純な配線となっており、使いやすいです。
電池は単4電池2本をミュート内に入れて使用します。
ここはベストブラスの勝ち!(^^)/
楽器への装着
斜めから撮影しているので、ちょっとわかりづらいかもしれませんが、サイレントブラスは、ほぼ全体がベルの中に納まっています。
ミュートを付けたままケースに収納することが可能です。
ベルの内側に接する部分(スポンジ)の面積がやや小さいので、ギュッと押し込まないと、演奏中に外れやすいです。
これに対し、イーブラスIVの方は、本体がベルの先端から飛び出しています。
ミュートを付けたままケースに収納することはできません。
ただ、ベルの内側に接する部分(スポンジ)の面積が大きいので、摩擦係数が大きく、外れづらいです。
ミュートを付けたままケースに収納することは、錆の原因になりかねないので、私はしていません。
見た目はサイレントブラスですが、演奏している側からすれば、外れづらい方がいいので、イーブラスIVの勝ちですかね?
重さ
サイレントブラスの重量は68gです。
これはBachの一般的なマウスピースよりも軽いです。
楽器に装着しても、あまり重さを感じません。
対するイーブラスIVの重量は106gです。
これは単4電池2本を入れた状態での重さです。
Bachの一般的なマウスピースよりも重く、楽器に装着すると重さを感じます。
ベルの内側に接する部分(スポンジ)の面積が大きいのは、重さで外れやすくなるのを防ぐためかもしれませんね。
これはサイレントブラスの勝ちです(^^)/
価格は両者ともほぼ同じ、16,000円前後です
肝心の吹奏感の違いは如何に?
前述したように、サイレントブラスは抵抗感をあまり感じず、音質もオーブンで演奏した時に近く、さほど違和感を感じません。
さすが、サイレント楽器を数多く手掛けているヤマハといった感じです。
ピッチ(音程)が悪くなるのは、ミュートの特性上仕方ないと思いますが、よくコントロールされていて、私には許容範囲です。
(具体的には、低音のピッチが上ずり、逆に高音が下がり気味に感じます)
対するイーブラスIVは、驚いたことに、ヤマハ以上にピッチが悪いです。
特に低音では1音(2度)くらい上がっているのではないかと思うくらい、音が高くなります。
音質はヤマハほど洗練されておらず、こもった音、かすれた音がします。
音量やエコーを調整しても、求める音になりません。
本来のトランペットの音ではありません。
演奏していて不快になります。
取り回しが非常に楽なだけに、非常に残念です。
ヤマハ・サイレントブラスがおすすめ!
当たり前のことですが、ミュートなんて付けないで練習するのが上達への近道です。
しかし、住宅事情等でオープンでは演奏できない人は多いでしょうから、どうしても練習用ミュートが必要な時は、私はヤマハ・サイレントブラスをお勧めします。
コメント
はじめまして、もみじと申します。
今月pCORNETを買ったばかりのド初心者です。
pCORNETを買う際には、pCORNETの記事も参考にさせていただきました。
その後、家族から「うるさい!」と言われミュートを探してたところ、またたどり着きました。
今回の比較記事も、非常にわかりやすくためになりました。ありがとうございます。
1点教えていただきたいのですが、pCORNETにこれらのミュートは装着できますか?
装着できるようでしたら、どちらかを買おうと思っています。
よろしくお願い致します。
お問い合わせありがとうございます。
ヤマハ・サイレントブラスは普通に装着できます。
ベストブラス・イーブラスⅣは今手元にないので確証はないのですが、その形状からして装着できると思います。
なお、ベストブラスから「e-Brass i」という新製品が来春までに発売されるという情報が雑誌「ザ・トランペットvol.9」(アルソ出版)に掲載されていました。
これはiPhoneやiPadと連動するスグレモノのようです。
私はAndroid派なので様子を見ようと思いますが、その使い勝手によってはiPhoneまたはiPadを買ってしまうかもしれません(^^;
レビューを待ちたいと思います。
ありがとうございました!!