デジカメを使った赤外線撮影入門 (機材編)

nakagawa00

フィルムカメラ時代、赤外線撮影は非常に特殊なもので、専用の赤外線フィルムを使って撮影しなければなりませんでした。

フィルムは、当時の小西六(現在のコニカミノルタ)から発売されていた「さくら赤外750」(のちのコニカ赤外750)が、国産唯一だったと記憶しています。
(海外製では、KODAK、AGFA、ILFORD、ROLLEIなどから発売されていたようです。)

konica infrared film

(写真出展:konica-sakura-film

私は、中学生当時から赤外線撮影に興味がありましたが、田舎だったため、赤外線フィルムや赤外線フィルターが入手できず、断念していました。
その代わり、ケンコーの赤色フィルター(R1)(600nm)+普通の白黒フィルムを使って、コントラストの強い疑似赤外写真を撮影していました。

その後、赤外線撮影には、すっかり興味を失っていましたが、2年ほど前にインターネットで偶然デジタル赤外線写真関連のサイトを見つけ、フィルムで撮影した赤外写真とはまた違った不思議な(不気味な?)魅力に憑りつかれました。

今回は、デジカメによる赤外線撮影について、もう少し詳しく解説してみたいと思います。

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デジカメで赤外線写真を撮影するには改造が必要

デジカメのイメージセンサー(撮像素子)は、可視光線以外に、紫外線や赤外線を感知します。
そのため、そのままだと赤かぶりした画像になってしまうため、センサーの前に赤外線カットフィルター(IRカットフィルター)が装着されています。

full spectrum photo

フルスペクトラム仕様のデジカメで撮影した画像です。(出展:I Love Snow
紫外線~可視光線~赤外線までを「露光」しているので、このような赤かぶりした写真になります。

デジカメで赤外線撮影をするには、このIRカットフィルターを除去し、代わりに赤外線だけを透過するフィルター(IRフィルター)を装着する必要があります。

日本では一般用の赤外線撮影専用デジカメが販売されていないので、自分で改造するか、専門業者に改造を依頼する必要があります。

自分で改造する方法は、ネットで検索するといろいろと出てきます。
自分で改造すると安上がりで済むようですが、分解や改造に失敗すると、デジカメが二度と使い物にならなくなる危険性があることや、撮れる画像がクリアでないなどの欠点があります。

私は大事なデジカメを壊したくないのと、クリアな画像が撮りたかったので、専門の業者に依頼することにしました。
比較検討したのは、以下の業者です。

デジカメを赤外線仕様に改造してくれる業者

光映者

光映舎

 

IDAS

IDAS

 

digital IR

赤外線撮影デジタルカメラ- Digital Infrared Camera –

 

invisible light technology

Invisible Light Technology

当時私はソニーNEX-6を使用していたので、ソニーの改造に強いと思われる4番目のInvisible Light Technologyさんにお願いすることにしました。
過去記事にも書きましたが、非常に丁寧な対応で好感が持てる方でした。

 

改造内容は、赤外線撮影専用機ではなく、フルスペクトラム仕様にしました。
フィルターを交換することで、紫外線撮影にも対応できるからです。

カメラボディは、ソニーNEX-5Rの中古をヤフオクで入手し、改造しました。
レンズは、シグマ19mm F2.8 DNを新品で購入しました。

nex-5r nex-6

写真上はノーマル仕様のソニーNEX-6、下はフルスペクトラム仕様に改造したソニーNEX-5R。
IRカットフィルター(ローパスフィルター一体)が除去されているので、センサー表面がグレーっぽく見えます。
(なお、IRカットフィルターを除去した後は、同じ厚さの透明な石英ガラスに換装されており、オートフォーカスが普通に作動します。)

フルスペクトラム仕様ではレンズにIRフィルターを装着する必要あり

赤外線専用機に改造する場合は、イメージセンサー前のIRカットフィルターを除去した後に、任意の波長のIRフィルターで換装するので必要ないのですが、フルスペクトラム仕様の場合は、レンズ前に装着するIRフィルターが必要になります。

IRフィルターは、ケンコーPRO1D R72(720mm)以外、日本国内では販売されていないので、eBayで数種類購入しました。

透過する波長は短い順に、650nm、720nm、760nm、850nmです。
(透過する波長により、それぞれ特徴のある写真が撮れますが、それについては「撮影編」で解説します。)

フィルターは基本的に中華製(安価)ですが、720nmのみ日本のHOYA製のもの(高価)も購入しました。

ir filters ir filter hoya

写真左上の赤いのが650nm(赤色可視光を少し通すので赤く見えます)、右上が850nm、左下が中華製720nm、右下がHOYA製720mmです。
650nm以外は可視光線を透過しないので、真っ黒に見えます。
また、HOYA製はコーティングされているのか、さらに黒いです。

最初は面白くていろいろな波長のフィルターで撮影していましたが、いちいちホワイトバランス(詳細は「撮影編」で解説します)を変更するのが面倒くさいのと、760nmの色合いが好みだったので、最近はもっぱら760nm(台湾製)を使っています。

nex-5r

赤外線改造には一眼レフよりもミラーレスやコンデジがおすすめ

デジカメを赤外線仕様(あるいはフルスペクトラム仕様)に改造する場合、どの種類を選ぶかですが、私は一眼レフよりも、ミラーレスやコンデジの方が適していると思います。

当然ですが、一眼レフのファインダーで見える画像(可視光)と、実際に撮れる画像(赤外線)は、全く異なるものになります。

また、フルスペクトラム仕様の場合は、レンズの前にIRフィルターを取り付けなければならず、その場合、フィルターは可視光を透過しないので、ファインダー内は真っ暗になり、必然的にライブビューを使用しなければ撮影できません。

ただ、古いデジタル一眼レフには、ライブビュー機能が搭載されていないものがあるので、機種を選ぶ時は要注意です。
改造するなら、ライブビュー機能搭載のものをお勧めします。

これに対し、ミラーレスやコンデジの場合は、EVFや背面液晶モニターに映し出される画像は、実際に撮影される画像とほぼ同じです。
出来上がりをある程度予測しながら撮影できるので、こちらの方が簡単で便利だと思います。

私のカメラは、ミラーレスのフルスペクトラム仕様ですが、760nmフィルターを付けっぱなしなので、事実上赤外線撮影専用機となってしまっています。
最近は、高倍率ズームのネオ一眼の赤外線専用機が欲しいと思っています。

海外の改造業者

eBayでは、フルスペクトラム仕様や、赤外線仕様に改造された一眼レフ、ミラーレス、コンデジが販売されていますし、手持ちのカメラを改造してくれる業者もあります。
日本で買ったり、改造するよりも安価なようです。
ただし、品質がどうなのかはわかりません。

英語に自信のある人は、チャレンジしてみてはいかがでしょう?

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